【お洋服の黒染め替え】ご注意事項


Kuro-Somekae Cautions

黒染めは、他の染色と同様に、天然繊維が対象となります。
天然繊維でも、お申し込みいただいた衣類の状況等により、仕上がりに差が出る場合がありますこと、ご留意ください。
黒染め替えの過程で高温で行う処理もあり、生地の傷みや縮み、縫製のほつれ、付属品の腐食・破損等が起きる場合がございます。

必ず以下をお読みいただき、リスクをご理解頂いた上でのお申し込みをお願いいたします。

また、お送りいただいた衣類を拝見させていただいた後、黒染めをお断りする場合もございます。何卒ご了承下さい。

とはいえ、黒染め替えはお持ちの衣類を新しい表情に生まれ変わらせるものです。染まらない素材や、染めるとダメージが大きい素材以外は、色ムラやシワが発生したとしてもその衣類の新たな、かつオリジナルな表情です。

世界で唯一無二のお洋服に仕上がる楽しみとして捉え、黒染め替えをご利用いただけると幸いです。

Contents

染めるお洋服の素材について

染色できるもの

天然繊維
 綿
 麻
 シルク
 ウール(羊毛のみ)

化学繊維(合成・半合成繊維)
 ナイロン
化学繊維(再生繊維)
 レーヨン
 キュプラ

素材別の注意点はこちら

染色できないもの

化学繊維(合成・半合成繊維)
 ポリエステル
 アクリル
 アセテート
 トリアセテート

動物系素材
 革(本革・合成皮革)
 ダウン
 毛皮

そのほかのご注意点

黒染め加工のできる素材でも、衣類の状態・状況はさまざまです。お申し込みの前にご自身でご確認いただける注意点を幾つかご案内します。

生地・縫製・加工

洗濯表示に記載されたものが黒染め替え可能な生地100%であっても、生地の状態や縫製方法、加工によって仕上がりに違いが発生します。ぜひご確認ください。

混合繊維について

天然素材と化学繊維が生地の中で織り込んで使われている場合、想定した黒色には染まりません。
化学繊維の割合が多いほど淡い色合いの黒、または茶色に近い黒に染まります。

一部の天然素材

アルパカやアンゴラなどの一部の素材は縮みが発生する場合が多くございます。
特にアンゴラは品質・編み方等によって、10センチ程度の縮みが生じる可能性がございます。
混紡の場合、アンゴラの比率により縮み肩が大きく変わります。

アルパカ、その他につきましてはお問い合わせ下さい。

生地の加工状態

撥水加工や形態安定、ノーアイロン加工など、表面加工を施した衣類は、色ムラの発生や黒く染まらないなど品質が安定しないことが多くあります。

縫い糸について

生地が綿100%との記載があっても、縫製糸は化学繊維の場合が多いことをご承知おきください。化学繊維の縫製糸の場合、糸素そのものの色がステッチ様に残ります。
刺繍糸、ボタンホールの糸等も同様に元の糸色が残ります。
金糸、銀糸は変色する場合があります。

衣類の状態

日焼けや、汚れがひどい場合はまれに染めムラのように残ることがあります。

デストロイ加工

ダメージ加工やカットオフ加工等、生地を破断するデストロイ加工のある衣類は、ほつれ部分の広がりや、ダメージ部分の破損が進む場合があります。
ヴィンテージ加工等で生地の擦れを表現した衣類は、加工部分に色の濃淡やムラの様に染まる場合があります。

プリント加工

ロゴや絵柄などプリント加工されている部分は原則黒く染まりません。またロゴなどの仕様によっては剥がれや割れなどダメージが発生することがあります。

裏生地

合成繊維が使用されていることが多く、染まらない場合が多くあります。

アルパカ、その他につきましてはお問い合わせ下さい。

硬い生地

帆布など硬い生地は染色時にもシワが発生し、色がのらない部分が発生します。
プレス加工でもシワが伸び切らない場合もあります。
新しい素材の表情としてお楽しみください。

付属品

付属品にはご注意が必要です。特に代替品がご用意できない様な珍しいデザインのボタンや革のパッチ等は、できる限り取り外してのご送付をお勧めします。

ボタンについて

ボタンの素材によって、黒系統の色に染まる場合と染まらない場合がございます。
ボタンについては、ご相談ください。
また、染色加工中にボタンが割れてしまう場合もあり、その場合は弊社で似たものをご用意いたしますが、同じものへの付け替えは難しいことをご留意ください。

デニム背面の革(パッチ)、バックル等

破損する場合がございます。
できる限り外してお送りいただくか、オプションサービスとなりますが、付け外し・付け直しを弊社でさせて頂きます。

ファスナー

材質・経年劣化の状態によって破損する場合があります。

ファー・フェイクファー

ファー(毛皮)、フェイクファー(化学繊維)は染めることができません。
ファーカラー(襟に装飾されたファー)など部分的にファーがある衣類で、取り外せない場合は染め替えをお受けできません。

アイテム別の注意点

黒染め替えは、黒で染めることでお洋服を新たなものに生まれ変わらせるものです。お洋服をご購入時のように、元に戻すものではありません。そのため、お洋服の種別によっては原型から離れてしまうなど、全てのお洋服に向くものではないことをご承知おきください。

とはいえ、もしタンスに眠ったまま、もしくは、もったいないけれど廃棄をお考えのお洋服などは、黒染め替えをお試しいただき、新感覚のお洋服としてお楽しみいただくことをお勧めします。

スーツ・ジャケット

スーツ、特にジャケットのうち、カジュアルを除くクラッシック・ビジネス・フォーマルなど形がきっちりしたものは、黒染め替えの工程のため、型が崩れてしまいます。 また、総裏地の場合、裏地の縫い付け部は風合いを保つため縫製をわざとあまく施しているものもあり、ダーツ部分など縫い代が少ないところなども、負担がかかってしまい、ほつれてしまう場合があります。半裏地の場合も裾のおりあげ部分がほつれることがよく見受けられます。

一度お湯を通しますので買われた時の様な新品の状態には戻りません。スーツで着るのには無理になってしまうものも有ります。

裏地のないカジュアルなジャケット、セットアップをお試しいただくか、カジュアルに着るぐらいならという気持ちでスーツは出していただけることをお勧めします。

コート類

縫製糸は元の色と同系色が使われ、強度的にも合成繊維が使用されていることが多く、ステッチ状に残ることがほとんどです。
襟元のファーや革で作られたストラップやタブは黒く染まらず、変色や変形する場合があります。取り外しできるものは事前に取り外して染めることができますが、取り外せない場合、染め替えをお断りする場合がございます。
撥水加工などがある場合、染めムラや浅い黒にしか染まらない場合もございます。

ワイシャツ類

天然素材のものでも、ノーアイロンや防シワ加工などが施されているものは、染めムラや浅い黒にしか染まらない場合もございます。

バッグ類

トートバッグなど、布だけでできたバッグのみご利用できます。
防水加工、取り外せない革や金属パーツの付属物、底板がついているような形状のしっかりしたバッグはお受けできません。

染色後の衣類の仕上がりについて

縮み・傷み

黒染めは高温の熱処理の過程を経るため、全体に多少の伸び縮みが出ます。
特にウール・シルク・麻は素材によっては大きく縮む場合があります。

また、洗濯表示にドライマーク等の水洗い不可のものは、縮みや傷みが発生してしてしまう恐れがあります。

90度以上の湯で染めますので、生地が年月を経て弱くなっている場合、痛むことがあります。

縮みについては、専門店でのプレス処理等で綺麗な状態になる場合もありますが、プレスでは解決出来ない場合もありますので、事前にご相談下さい。

風合い・型崩れ

染色の際の熱処理等で衣類の風合いを損ねる場合があります。

また肩パットや、芯地のあるキャップやハット類は型崩れする恐れが高いため、ご注意ください。

そのほか仕上がりに関するご留意点

お洋服の染め替えは、職人が1点ずつ丁寧に染めさせて頂いております。
ほとんどの衣類は問題なく仕上がりますが、衣類の保存状態、経年による傷み、汗ジミの残りなどが影響し、色ムラ等が発生する場合がございます。

また縫製によっては、染める工程において糸のほつれや、破れが生じる場合がございます。 綿などの破損はあまり例にはございませんが、消耗の具合によって生じる場合がございます。
軽微な破損等が生じてしまった場合、仕上がり後に弊社でお直しをさせていただく場合もありますが、完全に元に戻すことができない旨、ご承知おきください。

ご利用のプランごとの注意点

お電話での確認について

お客様が安心・納得して染め替えていただくために、原則お電話等での確認を致します。お電話番号等の確認が取れない場合は、お取り扱いをお断りする場合がございます。ご了承下さい。

納期について

お客様のご要望を確認しながら進めるため、通常は衣類をお預かりしてから4週間程度お時間をいただいております。

※染色工程は季節や天候にも左右されやすく、またご依頼の混み合う時期もございます。万全の仕上がりを期すため納期については多少延びる場合があることをご留意ください。時期による納期の変更はお知らせ等でご案内いたします。何卒ご容赦ください。

『エクスプレス』サービス

お急ぎでの仕上がりをご希望のお客様へは『エクスプレス』サービスをご用意しております。
最短1週間(弊社からの仕上がり品のご返送日)から承りますが、衣類の状態等によってお受けできない場合もございます。

また仕上がりの状況によってはご希望の仕上がり日よりもお時間をいただく場合もございます。
その場合の補償はエクスプレス料金のご返金のみとさせていただきますことご了承ください。

仕上がり前後の対応について

染色できない場合の衣類のご返送

お客様から衣類をお送り頂き、弊社で染色ができないと判断させて頂いた衣類は、着払い送料にてのご返送になることご承知おきください。

複数点お送り頂いた場合、その中に染色できない物が混在した場合、染色できる衣類の工程が終了しましたら、合わせてお送りさせていただきます。混在の場合も染色できない衣類のみ早めの返還をご希望の場合、別途着払いでの発送になることご了承ください。

仕上がり後の衣類の保管期間ついて

お預かりしたお洋服の保管期間は、染め替え完了のご連絡後から1年間とさせていただきます。
お引き取りにお越し頂けない場合や、配送後に受け取れず返送されたものや、受け取り拒否などがある場合、保管期間を過ぎましたら遺失物として警察に届けさせていただきます。ご了承ください。

※2023/8/17以降より受付のお洋服につきまして、上記の保管期間を設けるものといたします。

HPなどへのお洋服の掲載について

弊社HP内のブログなどに黒染の染め前・染め後のお写真を掲載させていただいております。掲載にご都合が悪い方は、お申し込み時のフォームにご記載ください。

素材別の注意点(詳細)

【綿】

ニット状になっている生地の場合は目が詰まって縮んだように見えるときがあります。アイロンで伸ばすこともできますが、縮む以前の状態に戻らないことをご承知おきください。

【麻】

目のつまりによって縮みが生じる場合があります。プレスである程度は戻りますが、100%戻るとは言い切れない生地もあります。

【ウール】

ざっくり編み込んでいるものは、染めたあと縮みが多く出ることがあります。

個人製作のものなど、品質表示のないものの仕上がり及び縮み具合は、実際に染色工程後にしか判明しません。その点をご留意ください。

【絹】

目のつまりによって縮みが生じる場合があります。プレスである程度は戻りますが、100%戻るとは言い切れない生地もあります。

元色の影響

黒染め替えは元の生地の色にも左右されます。特に混紡生地の場合は染まらない繊維があるため、その色が残り、混じり気のある黒色に仕上がります。

とはいえ、混紡生地の独特の黒や、色ムラもまた黒染め替えの面白さです。その辺りをご理解いただき、黒染め替えをお楽しみください。

黒色のお洋服の場合

元の色が黒の場合、混紡生地を含め、黒色に仕上がります。ただし、対象の衣類の日焼け、色あせ、シミの具合によっては、染料がうまくのらず、完璧な黒に仕上が等ない場合もあります。

染色できる生地(綿など)100%の場合

元々が黒ですので、黒本来の色合いに仕上がることが期待できます。
縫製糸が合成繊維の場合でも、黒色の糸が使われているため、ステッチ状に残ることもありません。

混紡生地の場合

【例1(綿・化繊)】綿54%  ポリエステル46%
綿の部分だけが染まります
本の黒色が助けてくれますので、綺麗な黒の仕上がりが期待できます。

【例2(綿・ウール)】綿30%  毛70%
素材の強度の弱い方を染めますので毛70%部分を染めます。
素材によって多少の縮みが生じる場合があります。
素材によってボタンが割れる場合がありますので、できるだけ外してご送付ください。

【例3(ウール・シルク)】毛65%  絹35%
毛の部分を染めます。素材によって縮みが心配ですが、プレスである程度は戻ります。

黒以外のお洋服の場合

黒染め可能な生地の場合黒く染まりますが、混紡生地の場合は染まらない部分の色が影響します。
また、合成繊維の糸・ボタンホールのステッチ、ファスナー縫製部分などはそのままの色が残ります。

染色できる生地(綿など)100%の場合

元色に関係なく黒に染め替えることができます。

混紡生地の場合

【例1(綿・化繊)】綿54% ポリエステル46%
綿だけが染まります。そのため元色が白の場合、仕上がりはグレーに近く、真っ黒には染まりません。

【例2(綿・ウール)】綿30% 毛70%
黒染め替えにおいては、素材の強度の弱い方を染めることになります。この例の場合、毛70%部分を染めます。
毛などの収縮性のある素材の影響で、多少の縮みが生じる場合があります。
毛の部分以外は染めないため、元色が影響した黒に仕上がります。

【例4(ウール・シルク)】毛65% 絹35%
素材を見てから可能であれば絹部分を染めてから毛を染めますが、場合によって毛の部分だけ染めることがあります。
素材によって縮みが心配ですが、プレスである程度は戻ります。

免責事項

黒染め替えについては原則ノークレームでお願いしております。1度黒染め替えを行った衣類は、元の色に戻す事ができません。

熟練の職人の手により、慎重に黒染め替えを行いますが、衣類の状態や素材により仕上がりに不可抗な状況が発生する可能性があることもご理解いただき、ご納得の上、お申し込みください。

特にインターネット限定の「スタンダード」プランでは、スタッフによる検品や細心の配慮で染め替え工程を進めますが、原則、お客様の注意事項のご確認とご理解、ご了承をいただいたと判断し、加工を執り行います。

必ずこのページに記載のご注意事項をお読みいただき、不明な点がございましたらお申し込み時にメール等にてご確認をお願いいたします。
なお、お電話の場合、お客様のご要望の確認と対応品質の向上のため、お電話内容を録音させていただいておりますことご承知おきください。